PSYCHO-PASS面白かったけどつらい

 たとえエンターテインメントのために常守さんが色んな出来事に巻き込まれるのだとしても、この世界がリアルに感じられるためにつらくなる。

 宿命は意図せず作られると思っている。自分の性格、身を置いてきた環境、偶発的に起こる出来事。小さな決断が大きな変化に繋がるかなんて分からないのだ。受け入れられることと悲しくならないことは比例しない。自分でも抗えないような、深い感情は常に強化されているから、たとえ値が更新されていることに慣れたとしても、何かのトリガーで引き起こされたとき、既に抗えないと気付くことしかできない可能性がある。たとえ色んな仕事に適性があっても、どの仕事にも適性がなくても、誰かを喪う悲しみは等しくその人を襲い、否応なしに運命を変えていく。意志を持つことはひどく尊く脆い。作中で起こる事件で誰かが、もしくは主要なキャラクターが亡くなること、悲しいのにそれでも明日も息をしていること、誰も誰かを止められないこと。それでも楽をしたいと感じる。悲観する必要はないのかもしれない、自分たちが望んだことなのだから。でも、何かを得るためには何かを犠牲にするかもしれないということ、どんな犠牲が出るのか分からないこと、その暗闇の中で決断していく姿が、ひどくまぶしくて、しかし息を詰めて見守ることしかできない。